大腸癌とは

近年、大腸癌患者さんは年々増加しており、部位別癌死亡率は癌の中で3番目に高く、今後さらに患者数は伸び、2015年には1位になると予想されています。
大腸癌に対しては内視鏡的治療、化学療法、放射線治療など様々な治療法がありますが、今でも手術療法が治療の中心であることには変わりありません。
当科においては手術だけでなく、当院消化器内科と協力のもとに、診断から内視鏡的治療、手術不能および再発症例に対する化学療法をはじめとする集学的治療さらには緩和療法まで、多岐にわたる病状の患者さんの治療に対応できるような体制にしています。手術においては、癌の根治性に加え、患者さんのQOLも重視した低侵襲治療として腹腔鏡下手術や肛門機能温存手術、自律神経温存手術も積極的に行っており、その数も年々増加しています。

大腸癌の症状

大腸癌の自覚症状は、S状結腸癌や直腸癌では血便、便が細くなる、残便感、便秘と下痢、腹痛など排便に関連した症状が多くなります。しかし、それ以外の部位の大腸癌ではかなり進行した癌であっても症状が現れないことが多い傾向にあります。
そのため、40歳を過ぎたら検便による大腸癌検診を受けられることをおすすめします。

大腸癌の診断

大腸癌の確定診断のためには大腸内視鏡検査を行いますが、大腸癌の進行度を評価するために、腫瘍マーカー、注腸造影検査、画像検査(CT、超音波検査、MRI、PET-CT)などの精密検査を行い、治療法を決定していきます。

大腸内視鏡検査

内視鏡を肛門から挿入し,全大腸を内側から観察します。癌や癌の疑いのある病変から組織を採取することができます。

注腸造影検査

バリウムを飲んで行うレントゲン検査のことです。
食道や十二指腸との距離や病変の拡がりを診断する目的で胃癌を手術する前には必ずレントゲン検査を行います。内視鏡検査とX線レントゲン検査は、胃がん診断の「車の両輪」のようなものです。

CT、超音波検査

治療方針を決めるために、大腸癌と周囲の臓器との関係、肝転移、肺転移やリンパ節転移の有無を調べます。

大腸癌の病期(ステージ)

早期がんと進行がん

癌の進行度を病期(ステージ)で表します。ステージは、深達度(癌が大腸の壁に入り込んだ深さ)、リンパ節転移の程度(どのリンパ節までいくつの転移があるか)、遠隔転移(肝臓や肺など大腸以外の臓器や腹膜への転移)の有無によって決まります。ステージ0が最も進行度が低く、ステージIVが最も進行度が高い状態です。
治療方針をたてる上で、治療前にステージを正確に予測することが重要です。

大腸癌の治療

大腸癌の治療法には内視鏡的治療、外科手術、化学療法、放射線療法があります。

内視鏡的治療

内視鏡検査の診断能、精度向上により、粘膜内にとどまる早期の癌では内視鏡的に治癒切除できます。内視鏡的治療には内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)があります。摘出後には病理検査で病変を検査する必要があります。検査結果によっては追加の外科手術が必要となる場合があります。

外科手術

大腸癌の治療の中心は外科手術になります。手術の原則は、腸の病変部の切除とリンパ節の切除(リンパ節郭清)になります。
大腸癌に対する腹腔鏡下手術は、炭酸ガスで腹部を膨らませて腹腔鏡で観察しながら、小さな孔から器具を入れて手術を行います。通常の開腹手術より手術時間は長くなりますが、傷口が小さく、術後の疼痛も少なく、体の負担が少ない手術法です。一般的には早期の大腸癌がよい対象とされていますが、今後進行癌に対しても腹腔鏡下手術が普及してくると考えられています。

化学療法

根治的な手術が不可能な場合や、手術により癌を切除できたとしてもリンパ節転移が認められた場合には化学療法の適応となります。

放射線療法

直腸癌などでの骨盤内局所再発、骨転移などに対して行うことがあります。

当科における大腸疾患

大腸癌、急性虫垂炎、大腸穿孔、潰瘍性大腸炎、クローン病、結腸捻転症など