産婦人科

婦人科系のがん

婦人科が取り扱う悪性腫瘍として主になるものとして子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん(卵管がん、腹膜がんも含む)があります。また他にも頻度は少なくなりますが、外陰部がん、膣がん、絨毛性疾患等も取り扱います。

子宮頸がんについて

子宮がんは、子宮体部にできる「子宮体がん」と、子宮頸部にできる「子宮頸がん」に分類されます。子宮頸がんは、子宮の入り口付近に発生し、観察や検査がしやすく、発見されやすいとされています。早期発見なら比較的治療しやすいがんですが、進行がんになると手術のみでは根治が難しくなり、放射線治療や抗がん剤治療等を組み合わせて治療を行う集学的治療が必要となります。子宮頸がんは、子宮を支える靱帯を伝って広がったり、骨盤や腹部のリンパ節、血管やリンパ管を通って子宮から離れた臓器(肺など)に転移したりすることがあります。

子宮頸がんの症状

子宮頸がんの前駆病変である異形成の時期は、ほとんどの場合が無症状です。この時期に病気を発見することが大事で、定期的ながん検診が重要となります。子宮頸がんと関連が深いとされるHPVウイルス検査と併用される場合もあります。進行すれば、おりものの増加や不正出血、性交時出血等があることがあります。さらに進むと下腹部痛等が生じることもあります。

子宮頸がんの組織型

大きく扁平上皮がんと腺がんに分類されます。扁平上皮がんが全体の8割でHPVウイルスに関連するとされ、腺がんは2割程度の割合です。一般的には腺がんの方が治療に抵抗性とされています。

子宮頸がんの検査

まず子宮腟部の細胞診を行い、その結果で精密検査として、コルポスコープ(子宮腟部拡大鏡)下の組織診、さらに必要であれば円錐切除術による組織診を行います。がんの広がりをみるためには内診や直腸診、超音波検査、CT検査、MRI検査、PET検査等も行います。その他、診断の補助や治療効果判定、再発の早期発見に、血液検査で腫瘍マーカーの検査も併用します。

子宮頸がんの病期

子宮頸がんはその前の段階の異形成や前がん病変の上皮内がんと転移等の可能性がある浸潤がんに分けられます。浸潤がんは治療前に病期に分類(表)し、適切な治療法を選択することになります。

表:進行期分類(日産婦2020,FIGO2018)がん情報サービスから抜粋

子宮頸がんの治療

子宮頸がんは病期に分類された後、その病期に合わせた治療法を選択することになります。当院ではガイドラインに準じつつ(図)、個々の患者様に合わせた治療を提案させていただきます。(当科では妊孕性温存のための広汎性子宮頚部切除術は行っておりません。必要であれば実施施設に紹介させていただきます。)

図:子宮頸癌ガイドライン2022、愛知がんセンター様HPを参考にさせていただきました。

子宮体がんについて

卵巣がんについて

卵巣がんは、一般的には卵巣にできるがんとされていますが、卵管に発生する卵管がんや広範囲に腹腔内にがんが広がっているが、原発が不明で組織型が卵巣がんに類似する「腹膜がん」も卵巣がんに準じて取り扱うこととされています。進行がんで見つかる場合が多く、手術や抗がん剤治療等を組み合わせて治療を行う集学的治療が必要となります。卵巣がんは、腹腔内を散らばる形で転移する播種や、骨盤や腹部のリンパ節、血管やリンパ管を通って離れた臓器に転移したりすることがあります。

卵巣がんの症状

卵巣がんの初期は、ほとんどの場合が無症状です。定期検診等で偶発的に発見される場合がありますが、多くの場合は進行して見つかることが多いとされます。進行がんの場合、下腹部痛や腹水等の出現による腹部膨満感、さらに進むと胸水等による呼吸困難感が生じることもあります。

卵巣がんの組織型

大きく4つに分類されます。一番多いとされるのは漿液性腺がんで卵巣がんの半分以上を占めます。発見時から腹水等を伴うような進行がんで見つかることが多く、治療を困難とさせる要因ともなっています。この組織型は、家系内で乳がんや卵巣がん、前立腺がん、膵がん等が多発する遺伝性乳がん卵巣がん症候群といわれる疾患にも関連が深いとされています。他にも内膜症に関連がある場合が多い明細胞がんや類内膜がん、粘液性がん等があります。一般的に漿液性腺がん、類内膜がんは化学療法に感受性が高く、明細胞がんや類粘液性がんは化学療法に抵抗性とされています。

卵巣がんの検査

まず婦人科的診察で、内診や超音波検査を行います。その結果で精密検査として、CT検査、MRI検査、PET検査等も行います。その他、診断の補助や治療効果判定、再発の早期発見に、血液検査で腫瘍マーカーの検査も併用します。

卵巣がんの病期

子宮頸がんはその前の段階の異形成や前がん病変の上皮内がんと転移等の可能性がある浸潤がんに分けられます。浸潤がんは治療前に病期に分類(表)し、適切な治療法を選択することになります。

表:卵巣がん・卵管がんの手術進行期分類(出典:日産婦2014、FIGO2014)

卵巣がんの治療

卵巣がんの治療はI期のごく初期であれば子宮や卵管、卵巣、所属リンパ節摘出を含む手術療法のみの場合がありますが、多くの場合、抗がん剤治療が必要となります。III、IV期の進行がんであれば手術のみで取りきることが難しくなり、化学療法を組み合わせて根治を目指すことになります。抗がん剤においては白金製剤を含む多剤療法を行いますが、近年遺伝性乳がん卵巣がん症候群のような遺伝子異常によるがんの発生がわかっており、それに適応する分子標的薬(PARP阻害剤等)も使用できるようになってきました。当科でもガイドラインに準じつつ、患者様個々に合わせた「個別医療」を実践できるようにしています。

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