形成外科

当科の診療の特徴

当科は、体表面の形態・機能異常を可能な限り正常に近づけることにより患者様の肉体的・精神的な負担を軽くしていくことを主に行っている科です。皮膚がんや頭頚部がんや乳がんなど手術により失われた組織の再建を行っています。再建では、形態を元に近づけるだけでなく機能面(食事や会話)の再建も行います。また、乳がん、婦人科がんなどの切除の際リンパの通り道が障害されリンパ浮腫をきたすことがあり、リンパ浮腫に対する診断、治療(リンパドレナージ、圧迫療法、外科的手術)も専門外来で行っています。

皮膚がん

皮膚がんの切除とともに部位や大きさに合わせて再建を行っています。体の別の場所から皮膚を採取して移植する方法(植皮術)や近くの皮膚・皮下脂肪組織を移動させる方法(局所皮弁術)で再建を行うことが多いですが、切除の範囲が大きい場合などでは皮膚・皮下脂肪・筋を栄養血管のみ残して移動させて移植する方法(有茎皮弁術)や、栄養する栄養血管も切り離して移植先の動脈・静脈と吻合し移植する方法(遊離皮弁術)を行うこともあります。


鼻背部の基底細胞がん

局所皮弁で再建

下腿のBowen病

局所皮弁で再建

頭頚部がん

頭頚部がんの切除が行われると、口やのど、食道など空気や食べ物の通り道に欠損が生じます。そのため、食事や会話などの問題が起こるため、欠損した組織を有茎皮弁や遊離皮弁を用いて再建を行っています。


上顎がん

遊離皮弁で再建

乳がん

乳がんでは、切除後に乳房の形態変化が起こるため、整容的な問題が生じます。乳房再建は、がんの切除とともに再建を行う方法(1次再建)か、がんの切除だけ先に行い後々乳房再建を行う方法(2次再建)があります。手術方法としては、主にエキスパンダー、インプラントを用いた人工物による方法と自家組織(有茎皮弁、遊離皮弁)を用いた方法があります。自家組織では、主に背中の組織や腹部の組織を用いて再建を行っています。

その他(婦人科がん、消化器がん)

外陰部のがんや直腸などが切除された場合、皮膚の欠損だけでなくお腹の中と外側が交通してしまう状態になることがあります。その場合、欠損した組織の再建が必要となるため、局所皮弁や有茎皮弁で再建を行っています。

リンパ浮腫

リンパ浮腫とは、リンパの通り道が損傷や閉塞により滞るために生じるむくみのことで、手術や放射線治療によってリンパ液の流れが悪くなった時に起こります。リンパ浮腫はがん治療を受けたすべての人が発症するわけではありませんが、発症すると徐々に悪くなり、重症化した場合は皮膚が硬化し生活に支障をきたすことがあります。また、リンパ浮腫では感染に弱い状態となり、ちょっとした傷などから細菌が体内へ入り感染を起こし高熱や痛みを生じる蜂窩織炎が起きやすくなります。そのため、早期発見と早期の治療を始めることで悪化を防ぐことが重要です。
リンパ浮腫外来では、インドシアニングリーンを用いた蛍光リンパ管造影法によるリンパ浮腫の診断やリンパ療法士によるリンパドレナージ指導、弾性着衣や包帯の装着による圧迫療法などを組み合わせた治療(複合的理学療法)や状態によってはリンパ管と血管をつないでバイパスを作成するリンパ管静脈吻合術も行っています。


リンパ管静脈吻合術

患者様への一言

当科の特徴は、自分の科のみで完結する治療だけでなく、多くは耳鼻科、乳腺外科、消化器外科など他の科と合同で治療にあたることが多いです。様々な科やスタッフと連携を取りながら、患者様にとって良い治療が提供できるように頑張ってまいりますのでよろしくお願いいたします。

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