当院の呼吸器内科では、肺、縦隔(じゅうかく)、胸膜(きょうまく)のがんを対象としています。
また、石綿(アスベスト)を原因とする悪性胸膜中皮腫(あくせいきょうまくちゅうひしゅ)の治療も行っています。石綿は天然の鉱物繊維で建設資材などに使われてきました。石綿を扱う仕事をしていた方が数十年後に発症することもあります。悪性胸膜中皮腫の治療は、労働者を医療の面から支える労災病院としての特徴の一つです。
胸部X線検査やCT検査で肺がんが疑われると、病変の組織を採取して詳しく調べる気管支鏡(きかんしきょう)検査を行います。
気管支鏡検査では、気管支に気管支鏡(カメラ)の細い管を通し、さらに奥にある病巣の組織を鉗子で採取します。気管支鏡は胃内視鏡と異なり、カメラの映像では病変を見ることはできません。X線画像を見ながら気管支の道筋を読んで組織を採取するため、経験と技術が求められます。患者様の負担を軽減するために当院では気管支鏡の鎮静内視鏡を取り入れています。
また、放射線科と連携してCTガイド下肺生検※1や、外科と連携して胸腔鏡下生検(きょうくうきょうかせいけん)※2を行うこともあります。
肺がんは扁平上皮(へんぺいじょうひ)がん、腺がん、大細胞がん、小細胞がんの4種類があります。がんの種類や進行度により治療方法が異なります。
呼吸器内科では、進行度がⅢ期、Ⅳ期で手術が困難な患者様に対して化学療法を行っています。
化学療法の薬は「抗がん剤※3」「分子標的治療薬※4」「免疫チェックポイント阻害薬※5」の3種類があり、それらを組み合わせて治療します。
また、手術療法後の再発や転移を予防するために化学療法を行うこともあります。
肺がんについては岡山大学病院や四国がんセンター(愛媛県)、悪性胸膜中皮腫については岡山ろうさい病院と連携し、治療方法の知見を深めています。