アスベスト疾患センター

アスベストとは

細かくほぐすと綿や麻のようにしなやかな鉱物は大昔から利用されてきました。糸や布に織ることのできる繊維状の鉱物は、燃えず、腐らず、引っ張りにも強く、補強性、保湿性があるので、石綿(アスベスト)と呼ばれて日用品や貴重品の保存に用いられてきました。

フィンランドでは紀元前数千年に粘土に石綿を混ぜて割れにくくした土器が発見され、エジプトではミイラの梱包に使用され、江戸時代には平賀源内が石綿で布を織り、火に入れると汚れが洗ったようにきれいになることから火浣布と名づけて宣伝したとのこと。

このように優れた性質の鉱物であり、戦前、戦中には船舶、飛行機、石油精製等の軍事目的で使用され、戦後には経済成長に合わせるように大量のアスベストが輸入されました。

主な用途としては、石綿セメント製品やボード類等の建築材料、ビニール床タイルなどの合成樹脂の補強剤、断熱、防音のためのモルタル吹き付け剤、ボイラー配管や過熱炉の保湿剤、ブレーキラインニングのような摩擦剤、モルタル、パッキン材等に広く使用されてきました。

昔は魚焼き用の金網の補強にもアスベストを含む材料が使用されてきました。したがって、日本における生活環境ではいたるところにアスベストは存在していると考える必要があります。

アスベストによって
起こる病気

鉱物線維であるアスベストを吸入することで、肺には慢性炎症が起こり、肺腺維症、肺が硬くなり縮む病気が起こり石綿肺とも呼ばれます。また、肺を包む薄い膜(胸膜)があり、アスベストがここまで到達することで、水が溜まったり、胸膜が厚くなったりします。一部の人では腫瘍性変化として悪性中皮腫や肺がんのできる人もいます。

これらの変化は、早い段階や軽度の変化ではなんの症状もありません。胸部X線写真を撮ることで発見することができますが、これも軽度の変化では見過ごされます。

10年、20年の経過で進行すれば、息切れや胸の痛みが出てきますし、X線写真にも明らかな変化として出てきます。一般に肺がんや悪性中皮腫の発生はアスベストを吸入して20年から30年後に発生すると考えられています。

早期発見のためには毎年の胸部検診や肺がん検診を受診することが大切です。

肺がんについてはタバコとの関係が大きく、アスベストによる肺がん発生の危険度は5倍、喫煙による危険度は10倍であり、両者が合わさると50倍の危険度になります。したがって、禁煙は最も重要で効果的な予防法になります。

設置目的

社会問題として大きく取り上げられているアスベストによる健康障害について、医療の面での社会的貢献を果たすことを目的として、「アスベスト疾患センター」を設置しました。

業務目的

  1. アスベスト関連疾患に係る健康相談
  2. アスベスト関連疾患に係る診断・治療
  3. アスベスト関連疾患に係る症例収集
  4. アスベスト関連疾患に係る他の医療機関等への支援援助

アスベスト関連疾患に係るお問い合わせ

香川労災病院 健康診断部事務室

住所 〒763-8502 香川県丸亀市城東町3丁目3番1号
TEL 0877-23-3111(代)内線3850
時間 8:30-11:00(月曜日~金曜日)休診日は除く
  • 事前に一度お電話ください。
0877-23-3111 初診 8:15-11:00
再診 8:15-11:30
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